ディレイドアプローチ等、ハーモニーに関する応用技法の概要 | 特定非営利活動法人ミュージックプランツ | 音楽制作・作曲・DTMを支援する会 Skip to content
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2021年6月 2日

6:応用Harmonizing①


前回までに基本及び実践のHarmonizingを習得してきました。
ここから先の応用Harmonizingを学ぶにあたり、重要な事項を再確認する必要があります。
Harmonizingでは「アプローチトーン」の確実な認識が要求されます。
これは同時にセンタートーンの確定にもなります。
そもそものメロディ(他パートならばトップノート・オブリガート・裏メロディなど)が脆弱な場合は、Harmonizingが無理なこともあります。
センタートーンとアプローチトーンの関係性を十分に把握したメロディ構築のスキルがなくては、ここから先の応用Harmonizingを学んでも実践には生かされません。
不十分な知識とスキルで応用Harmonizingを使用すると、かえって音楽を破綻させてしまうこととなります。
これまでのスキル、知識の十分な習得が一層不可欠になることは、肝に銘じてください。

応用Harmonizing

一旦組み上げたアプローチコードは次の技法で変形、改変させることができます。

1 Leaping approach Apコードを任意にInversion
2 Omit free Apコード構成音の自由省略
3 Delayed approach Ctトーンを上下に挟んで再アプローチ
4 Broken approach Apコードのアルペジオ化
5 Expanded approach Apコード自体をCh.Aで拡張

これらの技法は自由に組み合わせて使うことができます。
それによりメロディ構築の自由度が大幅に高まります。
例えば「アプローチトーンを連続させること」や「アプローチトーンを2度よりも離れて解決させること」など、基礎の範囲では禁則として扱ってきたようなメロディの形がこれらの技法によって開放され、より自由なメロディ構築を可能にすることができます。
しかしながら何度もいいますが、これらの技法を用いる大前提として「明確なアプローチトーンとセンタートーンの把握」「決して破綻していない十分に音楽的なメロディ構築のスキル」が身についていなければなりません。
また、当然そのメロディを支えるコードスキル、特にテンションコード、リアルマイナースケールシステムの十分な知識が必要不可欠であることを再確認してください。

まずはメロディ構築の際に関連性の高いLeaping approach、Omit free、Delayed approachについて解説します。

Leaping approach

【定義】一旦組み上げたApコードを任意にInversion(転回)する。
音楽理論③第2回【3-1 Etude1】からのHarmonizing②での一例からLeaping approachを用いてみます。

リーピングアプローチ アプローチコードを転回することで跳躍するアプローチトーンにする アプローチコードがクラスターコードになってもよい

Leaping approachによって再構築されたApコードは通常ではなるべく避けるクラスターコード型になっても使うことができます。

ここからTopノートを抜き出すと、元のメロディからの改変が確認できます。

 

Leaping approachによるメロディ改変 トップノートを新たなメロディとすることで、合理的なメロディ改変ができる

この例ではDim.AとADAにてLeaping approachを使いましたが、もちろん他の全てのApコード、Do.A、STA、Ch.Aに適応させることが可能です。

Omit free

【定義】一旦組み上げたApコード構成音を任意にOmit(省略)する。
注意)Ctトーンでのハーモナイズコードにおいては当然トップノート=メロディ以外の音をOmitします。
トップノートをOmitすることは根本的なメロディを変えることになります。

Harmonizingの初期状態は4和音です。
求めるサウンドに応じて適時ApコードをOmitさせることができます。
当然ながらCtトーンでのハーモナイズコードもOmit可能です。

Omit free 4声で組み上げたハモりの構成音を任意に省くことができる

Delayed approach

【定義】ApトーンがCtトーンラインを一旦飛び越して再アプローチする。

delayed resolve ディレイドリゾルブ アプローチトーンがセンタートーンを飛び越えた先にもうひとつのアプローチトーンを新たに配置する

図からわかるようにDelayed approachにて新たなAp2を作り出すことができます。
この時、Ap1とAp2はCtに対しそれぞれ独立したアプローチハーモナイズを行うことになります。
つまりAp1とAp2は無関係な存在となります。

delayed resolve ディレイドリゾルブにて追加した新たなアプローチトーンには元のアプローチトーンとは無関係ののアプローチコードでハーモナイズする

 

 

 

 

実践では、一旦組み上げたメロディからの改変でDelayed approachを用いるよりも、メロディ構築時にDelayed approachを意識したフレーズを作るほうが多いでしょう。
特にAp2が増えることによる音価の変化(メロの時間的な変化)には気をつけなくてはなりません。


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