自然倍音列の構造がコードの機能に与える影響について | 特定非営利活動法人ミュージックプランツ | 音楽制作・作曲・DTMを支援する会 Skip to content
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2021年6月 2日

10:音の真理


これまででBasic、Advancedのコードプログレッション、各コード&スケールの全て、ポピュラー音楽におけるコード進行の全材料を示しました。
ここで、音楽を構成している「音」の根本を探っていきたいと思います。

音楽の入り口と出口は同じです。
どんなに複雑なコード進行を習得しても、シンプルな主要三和音のコード進行が色褪せることはありません。
我々が「音」に対してどうして感情を持つのか、そのシステムの根源を知ることで音楽そのものを広く俯瞰して見渡すことができ、絶対的な価値観を再認識することができます。

人間の音に関する感情

音楽の最重要項目「インターバル」これは「響き」の最小単位です。
そして、我々はこの響きに対して生まれながらにインプットされた反応を示します。
このメカニズムに関しては「周波数比率が整数比だから綺麗に感じる」などの研究もありますが、そもそもなぜ、その周波数比率だとそう感じるのか、その根本までは説明できません。

音に対して人類がだいたい同じような平均的感覚を示すのは「大いなる存在が人類をそのようにプログラムした」と割りきって考えてしまったほうがよいでしょう。
作曲を行うに必要な情報はその反応を「音の原理・真理」として認めてしまうことです。
明確な反応を示すインターバルは次の3つです。

  • M3・・・明るく感じる

  • m3・・・暗く感じる

  • トライトーン・・・不快・危険に感じる

重ねて言いますが、なぜ人類がそう反応するのかという問いに答えはありません。
「光速度不変の原理」と同一の存在です。

感情を示さない「無機質」なインターバルは次の2つです

  • P4

  • P5

コードはすべてこれらの組み合わせで作られています。
この中でもっとも重要なインターバルの組み合わせは「トライトーン→M3」です。
これまでもドミナントモーションの核となるメカニズムとして何度も登場してきました。

ルート音絶対主義

新標準音楽理論はルート(ベース)をコードクオリティに優先して考えます。
メロディを支えるコードはルートの上に成り立ちます。
そしてルートはKey内においてファンクションを決定させる要素です。
この考え方の根幹にあるのが「倍音列」です。

倍音列(Harmonic overtone series)
純音(サイン波)以外のすべての音は、その音の最低周波数(基音)の整数倍周波数である「倍音」を持ちます。
倍音の成分比率によって「音色」が決まります。
自然界に純音は存在しないので、あらゆる音は多かれ少なかれ倍音を持つと言えます。
その倍音を楽譜上に示してみると以下のようになります。
なお、現在の音符はオクターブを12等分した「平均律」を基準としています。
そのため、整数倍比率の音とギャップが生じます。
楽譜上での倍音の位置は近似値であることに留意してください。

倍音五線譜

ここでは例として「C1」を基音にとっています。
サウンドでベースをC1の単音で鳴らしたとしても、倍音を考慮に入れるとこれだけの音が同時になっている、即ち和音が成立していることになります。
倍音は通常基音に近い倍音から遠くなるにつれて成分が減っていきます。
影響力の大きい第8倍音までの音を取り上げて和音で考えてみます。

ドミナントコード倍音楽譜

すると、倍音列で最初に完成するコードクオリティがドミナントコードであることが分かります。
すなわち

単音=ドミナントコード

といえます。
倍音の影響力を考えると低音域ほど倍音成分が有効可聴域に収まりやすいのは明白です。
これが新標準音楽理論がルート音絶対主義を取る理由です。

音の本質と真理

倍音列を考察すると、音はそのものがドミナントコードといえます。
さらに、先述した通り、人類はドミナントモーションの現象=「トライトーン→M3」による解決感をインプットされていると考えると、

ベース単音で倍音列上のドミナントコードが成立し「トライトーン→M3」による解決感を求めるのでドミナントモーションが最優先に誘発される
例)C1で倍音列上でC7が成立する→F1へと最も移動したくなる

これが音の真理であるといえます。
この真理を見つめると、人類はどう考えてもドミナントモーションを何か見えない大いなる存在にインプットされていると考えざるを得ません。
もう一度倍音列を見てみましょう。

倍音インターバル楽譜

色々と興味深い事実が見えてきます。
まず、最初に「無機質」なP5が登場し、その次にM3が現れます。
こうしてみると、音の本質は「明るい」ものであると言えます。
一方、m3にあたる「E♭」はまだ当分出てきそうにもありません。
マイナートニックにあたる「A」も第13倍音は極めて微妙な位置でちょうどAとA♭の中間に位置します。

このように「m3=暗い」という成分は「倍音列=音の本質」には無いと考えられます。
コードは、ルートに3度堆積してできる和音です。
このようなことから、マイナー系コードは極めて自然の摂理に逆らったものであると言えます。

倍音列とDiatonic scale
人類が英知をかけて音楽を体系化した根本原理に「Diatonic scale」があります。
そしてその中心的存在はいうまでもなく「Major scale」です。
倍音列を見てその構成から最初に出来上がるDiatonic scaleを考察すると「Lydian7th」であることが分かります。

リディアンドミナントスケールとスコティッシュスケールの倍音列

共通音の集合が「Scottish scale」であることが分かります。
ここを見てもScottish scaleの重要性が分かります。
逆を言うと「F」「B」は真理に逆らった音と言えるかもしれません。
それだけ使用には注意が必要ということです。


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