8:Real minor scaleの世界⑤
Real minor scale systemの重要なスケールは「VIIーIV」「III-VI」でした。
残りのスケールは局所的に使われるのみで、Tipsとして覚えてしまえば十分です。
まずr.mIIのDorian♭2は使われません。
残りがr.mIの「Real minor」とr.mVの「Mixolydian♭6」です。
共に使われるところが限定されますのでポイントを解説していきます。
Real minor (r.mI)
ややこしいことにPrimary scaleの「Real minor scale」と同一名称になっています。
使われる場所は2箇所だけです。
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VImからのソプラノクリシェでVIm△7
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IV△7からのモーダルモーションでIVm△7
まずはスケール確認をしましょう。
もっとも使われるポジションのIVで示してあります。
Real minorの使い方
VImからのソプラノクリシェでVIm△7
【Tips】クリシェ
コードが比較的保持された進行にて、ある1音が、半音または全音にて連続して動く現象。
トップノートのソプラノクリシェと、ベースで行うベースクリシェに大別される。
この他に内声クリシェというのもある。
クリシェの動きをクリシェラインとも呼びます。
このようにVImから始まるクリシェが典型例ですが、
C ー C△7 ー C7 ー C6
C ー C+ ー C6 ー C7
などの例もあります。
2.IV△7からのモーダルモーションでIVm△7
俗にいう「サブドミナントマイナー」と呼ばれるIVmで、Real minorを適用させることができます。
前にも少し記しましたが、新標準音楽理論にて「サブドミナントマイナー」とは「ルートがサブドミナントの位置にあるマイナーコード」という意味になります。
より詳しい解説はもう少しお待ち下さい。
このようにIVmのポジションには、一般的なDorianだけでなく、様々なコード&スケールが使われる場所です。
響きの違いなどから好みで使い分けて構いません。
特に最後のFo7(9)は非常に魅力的で「Diminished scale」に対応するコードです。
一般の理論書ではわりと初期に取り扱われる「Diminished」と「Whole tone」ですが、これまではわざと取り上げませんでした。
この理由の詳細は後ほど説明します。
Mixolydian♭6
r.mVのこのスケールは、たった一つの理由で使わないことを推奨されています。
その理由は「カッコ悪い」からです。
いわゆる昭和歌謡やムード歌謡のような古臭いサウンドになってしまいます。
しかしながら、ピンポイントでかっこ良く使えるポイントがあります。
それがIIIsus47(9)=VIIm/III(IIIのダブルストラクチャーコード)からのIII7に対応させる用法です。
その他のスケール
ここまで、音楽の中心的な柱、Diatonic scaleから作られるコード&スケール14本の解説を終えました。
学ばなければならない全スケールは18本です。
残されているのは「特殊系」4本ですが、そのうち「Harmonic minor P5th below」は解説しています。
残りは3本です。