トラックメイク・ミックス・マスタリングの重要知識のまとめ | 特定非営利活動法人ミュージックプランツ | 音楽制作・作曲・DTMを支援する会 Skip to content
Logic Proとサウンドの基礎 一覧に戻る
2021年3月 29日

11:トラック・MIX/マスタリング


前回までの授業にて概ねのサウンドを網羅する音源・エフェクトの説明を行いました。
この後で最も実践で重要になってくるのが

  • 個々のトラックメイク基盤であるEQ/コンプ
  • 空間系エフェクト

です。
そしてMIXするにあたり重要なのは

  • 個々のトラックの音量バランス
  • パンニング、Modulation系エフェクトなどでの音場操作

この主な目的は「各トラックの独立性」です。

こうしてこれらの設定と必要に応じたオートメーションを得て

  • 2ミックス(またはステムミックス)

を作成し、マスタリング工程にて最終の

  • 音質補正
  • 音場補正
  • 音量補正

を行い「マスター音源」を作成します。

4Rhythm以外のトラックメイキング実践

前回までのコンプ&EQ実践にてサウンドの根幹である「ドラム・ベース・ギター・エレピ」すなわち「4Rhythm」を説明しました。
より実践的に4Rhythm以外のトラックを取り上げます。

Strings section

ストリングスは非常にダイナミックレンジの広いパートとなるので、あまりコンプで潰しすぎないように注意します。
また、セクションごとでどうしても音が暴れますのでオートメーションは必須になります。

マルチバンドコンプ
チェロ・ビオラ・バイオリン1&2の相当帯域別に設定を変えていきます。

リバーブ
ストリングスの録音ルームをシミュレートしたものを使います。
通常ストリングスセクションの録音では、オンマイクの他にかなり遠くから音を拾うオフマイクも使われます。
この「空気の響き」を再現させるとより一層の美しいストリングスとなります。

コンプ
あくまでも軽くピークを抑える程度で。

EQ
弦の摩擦音のアタック部分を残すように。
2~4Kが肝心ポイント。
音源によって増減し、5K以上は少し上げる。
あまりハイを上げ過ぎてピーキーにならないように。

メインメロディ/ソロ・リード系

シンセリード・ギターリードなどの強いリード音は大体が歪系のエフェクト、オーバードライブやディストーションがかかっています。
これらはほぼリミッターの役目も持ちますのでコンプはまず不要になります。

EQ
メロディの基音以下の周波数はバッサリカットします。
大幅なEQカーブの操作はあまりしません。

エキサイター
どうしても音が目立たない・前に出ないというときに「奥の手」エキサイターを使います。
ソロの場合は5~7K以上にかけます。

その他SQ/SE/FX音全般

これらの「脇役」タイプのサウンドはなるべくステレオの左右に振り分けてセンターポジションに置かないほうが音の存在感を上げることができます。
これらステレオイメージをコントロールするのによく使うタイプのエフェクトを取り上げます。

ステレオスプレッド

Stereo Spread

音源の周波数帯域を強制的に左右に振り分けてステレオ効果を高めます。
この時音源は単純に横に広がるというより前後の立体感を持った音像へと変化します。
やや似ているサウンドトラックが共存している時など片方にかけると効果的です。

ディレクションミキサー(ステレオイメージャー)
音像の左右の広がりを調整します。
この時、完全に広げると中央(モノラル)が抜けた音像になり、音が前後で鳴っているように聞こえます。

ディレクションミキサー

空間系エフェクト調整

リバーブとディレイのセッティング

基本的な各トラックのサウンドメイクが出来上がったら「リバーブ」と「ディレイ」の深さ、密度等のエフェクト調性を念入りに行います。
空間系エフェクトの目的はサウンドの広がりを持たせることの他に「残響密度を各トラックで変化させることでサウンドの馴染みを良くしながらも分離をより良くさせる」という重要な目的があります。
このためにもリバーブは「ロング、ミドル、ショート、アンビエント」の4種類。
ディレイも「8分/付点8分」「ステレオ誤差のある4分」の2種類を用意しておくといいでしょう。

TD(トラックダウン)/2MIX作成~Masteringについて

各パートのサウンドメイキング。
ステレオ等の音場処理が終ったらいよいよTDを行い「2Mix」ファイルを作成します。

Masteringとは、楽曲の最終工程にて行われる最終調整の一連の作業のことです。
その目的はメディアにパッケージされる各楽曲(当然単体1曲のみの時もある)の最終的な「音質調整」「音場調整」「音量調整」を行うことです。
1990年代なかばほどからデジタル・オーディオ音量許容量である0dBの枠組みを出来るだけ有効的に利用しようとする、いわゆる「bit深度の有効活用」が主流になってくると、Masteringに求められる大きな要素に「音圧」が加わるようになりました。

マスタリングまでの作業


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