7:PWM・ノイズとフィルター・歪み系エフェクト
アナログシンセサイザーテクニック①
オシレーター、フィルター、アンプリファイアー、ADSR、LFOといった、アナログシンセサイザーの基本モジュールを説明してきました。
ここからは「よりシンセサイザーっぽい面白い音」を作り出すためのテクニックに追っていきます。
これらに多く共通するのが「Modulation=変調」です。
一本の真っ直ぐに聞こえる音を変調すると多様に変化する幅広いサウンドを作り出せます。
一つ一つのテクニックをじっくり手に入れて応用を効かせてシンセサイザーの奥深い面白さを実感してください。
Technique2
PWM (パルスウィズモジュレーション)
通常、厚みのあるアンサンブルサウンドを作るときには、複数のオシレーターを重ねてデチューン(微妙にピッチをずらす)させることでアンサンブル効果を得ます。
単発オシレーターではその代わりにオシレーターの「パルス波」のデューティ比をLFOで変化させて擬似コーラス効果を得ることがよく使われます。
これを「PWM」といい、単発のオシレーターでも厚みのある太いサウンドが作れます。
ゆっくりと変化させることでフェイザー効果に近いサウンドにもなります。
イメージする音
シンセストリング・パッド
クワイヤ系 アンサンブルブラス
応用
コーラス系エフェクトと併用すると非常に厚みのある音になる。
またフェイザーと相性が良く、印象的なサウンドになる。
また、ゆっくりと変化させてSQ音にしても面白い。
Technique3
ノイズとフィルターの自己発振音
可聴域の音を稠密に全て鳴らすとノイズになります。
「ホワイトノイズ」と「ピンクノイズ」がよく使われます。
効果音やドラムサウンド、パーカッション系、エアリーな音、神秘的サウンドや音を太くする隠し味など「サウンドの隙間を埋める音」として多種多様な使用法があります。
ノイズもモジュレーション系のエフェクターととても相性が良いです。
フィルター自己発振音の音階付け
フィルターのレゾナンスを上げていくとある値から発振音(サイン波)が出ます。
これをノイズと混ぜることにより、様々な効果音を作ることができます。
また、Keyフォローを設定することで発振音に音階を付けることもできます。
(シンセサイザーによっては平均律にピッタリ揃わない場合もある)
ex.
波の音(レゾ無し)と嵐の音(レゾあり)
イメージする音(サイン波系)
- 口笛系・ウインドシンセ系
- チャイム・金属系
ノイズとの混合で
- ノイズ系エアリーパッド
- ノイズ系パーカッション
【es1 Tips】
フィルター発振音でMod Envelopeの「Filter FM」をかけると金属的な音になる。
(RingModulationの音に近い)
エンベロープの逆位相
エンベロープのADSRで描かれる線形は上行から下降への形(↗↘)になりますが、シンセサイザー機種によってはこれを逆転(逆位相)させて(↘↗)描くことができます。
スタッカートで余韻のあるパッド系やベル音の発展系、効果音などに使われます。
歪み系(Distortion)エフェクト①
音を荒々しくする、汚す、歪ませる、太くする、壊す、ノイジーにするなどのイメージで使われるエフェクターです。
原理は「過大入力」が基本です。
音の増幅回路の種類や、歪具合などの音色キャラクターでエフェクト名が異なります。
Bit Crusherはデジタルの歪で異質ですが、一般的に言われているオーバードライブ・ディストーション・ファズ・クランチ等の名称は結構境界線が曖昧だったりします。
Overdrive/Distortion
この2つは境界線が本当に不明瞭で、マイルドでウォーミーなオーバードライブ、激しく鋭いディストーション。
真空管増幅のオーバードライブ、ディスクリート素子のディストーション。
過大入力=オーバードライブ、その効果の歪=ディストーション。
という風に言われていますがこの違いは感覚的なものが大きいようです。
基本的なパラメーターに差はありません。