5:オーディオインターフェースとケーブル
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オーディオインターフェース(AudioI/F)について
DTMを始めようと調べていくと、オーディオインターフェースが必要になると説明されることが多くあります。
オーディオインターフェースとは何か、絶対に必要なのか、その辺を説明します。
【概要】
マイクやラインからのオーディオ信号をDAWにデジタル録音し、DAWからの音(デジタルデータ)をアナログ信号に戻してスピーカーやヘッドフォンから鳴らすもの。
簡単に説明すればこうなります。
ですが、正しく理解をしないと自分の目的にあったオーディオインターフェースの購入が難しくなります。
正しい理解のためにまずは語句の説明をします。
■アナログ信号
マイクや、ギターのピックアップなどから拾い上げたケーブル上に流れる音声の電気信号。
増幅すればスピーカーで音が鳴り、イヤフォンでも聴くことができる。
オシロスコープで直接、音声波形を見ることができる。
連続的変化の信号。
■デジタル信号
アナログ信号を解析して「0,1」で表せるデジタルデータに変換されたもの。
具体的には波形に網目を掛けて、網目の番地にデータが有る無しでデジタル化する。
このことを「符号化変調=PCM」と呼ぶ。
段階的変化(不連続)の信号。
■PCM録音
符号化変調技術でアナログ波形をデジタルデータに変換して記録すること。
■A/D変換
アナログ信号からデジタルデータに変換すること
■D/A変換
デジタルデータをアナログ信号に変換すること
※アナログ/デジタル信号、PCM等の説明は「エレクトロニック・シンセサイザー基礎」第1回~「音」の正体と性質~p.6にあります。
参照して下さい。
オーディオインターフェースの定義
「オーディオインターフェースとは」
A/D変換とD/A変換を両方備えているもの
オーディオインターフェースの値段の差
最低金額のもので2~3千円、プロ用のハイエンドで100万円超えのものまで、値段はピンきりにあります。
この値段の差は
「D/A変換」です。
デジタルデータをアナログ信号に変換する技術=良い音で再生する技術、ここに物凄くコストがかかります。
すなわち高いオーディオインターフェースを使う意味は
「デジタルデータを良い音質で再生すること」
ということです。
一方「A/D変換」は値段の差が全くと言っていいほどありません。
いかに安いオーディオインターフェースのA/D変換でもデータの精度は超高級機種と殆ど変わりません。
録音すること=「A/D変換」
DTM情報雑誌やネット情報などでは「良い音で録音するにはオーディオインターフェースが必要だ!」と書いてあります。
それでは「録音する」のは何の技術を用いることでしょう。
答えは「A/D変換」です。
単純に「マイクやギターなどのアナログ信号をDAWに録音する」のであればどんな安いオーディオインターフェースを使っても出来上がる(録音される)デジタルデータには全くと言っていいほど差が生まれません。
オーディオインターフェースを選ぶ基準は「どの再生音質で自分が満足できるか」という事になります。
※Tips
録音される「音質」について、いわゆる「良い音」を左右する要素は?
音質のクオリティは様々な要素が影響します。
それぞれのクオリティによって影響する割合は、ざっと
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マイク・・・85%
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プリアンプ・・・10%
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ケーブル/コネクタ・・・2%
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電源周り・・・2%
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その他・・・1%未満
AudioI/Fそのもののクオリティ差が与える影響は殆どありません。
全てのMacにもオーディオインターフェースは搭載されている
実は、Macには非常に高クオリティのD/A変換を持ったオーディオインターフェースが搭載されています。
Macからのステレオミニジャック出力のオーディオ信号はかなりの高音質で、廉価帯のオーディオインターフェース音質を遥かに凌ぎます。
Macデフォルトのオーディオ録音に関しては、現モデルの殆どがヘッドセット用のマイク入力、または内蔵マイク(MEMSマイク)のみなので、本格的なレコーディングのためには、外部のマイク信号やライン信号の入力にオーディオインターフェースが必要になります。
※超微細構造マイク。
近年ECMマイクに変わりさらなる小型マイクとして注目されている。
近年の音質向上はめざましく、従来のマイクに取って替えられる可能性をも秘めている。
オーディオインターフェースの接続方式について
オーディオのデータ伝送量からみれば、USB2.0規格にて十分余裕があるものとなっています。
よって、USB3.0やThunderbolt等の伝送上位規格であっても、オーディオクオリティに差が出ることはありません。
あくまでもAudioI/Fのハード的差異によってのみオーディオクオリティが変わります。
【オーディオ伝送技術の多角化】
特に、プロ用オーディオシステム環境において、煩雑なアナログワイヤリングから開放させようという、シンプルなデジタル伝送規格が次々に出てきています。
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MADI規格・・・I/O 64ch オプティカル/コアキシャル
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Dante規格・・・I/O 512ch Ethernet伝送
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EtherSound規格・・・IU/O 64ch Ethernet伝送(CAT5e)
単体モデル
オーディオ信号の入出力と、主に入力信号のゲイン調整だけで構成されているものです。
自分だけでボーカルを録る、ギターを録音するのみであればこのモデルで十分です。
Mackie/BlackJack(生産終了品)
RME/Babyface Pro
ミキサー一体型モデル
アナログミキサーが一体化したモデルです。
ボーカリストに歌ってもらう、音をアナログ加工する、ネット放送などに使うなど多目的に使えます。
ベリンガー/XENYX302USB
Mackie/ProFX8v2
オーディオインターフェースのクオリティについて
「デジタル」領域に関わる音質についての技術革新は2005年付近にて頭打ちとなっています。
その後も続々と新製品が作り出され、カタログスペック等ではあたかも年々音質向上等が刷新されているかのように謳われますが、その殆どは単なる表面上の変化だけにすぎず、むしろコストダウンによる劣化のほうが事案としては多いと言えてしまいます。
これらの「カタログに惑わされない」製品クオリティの見極めは、実際に音質を自分の耳で確かめてみるしかありません。
ここだけは、商品の口コミや、楽器屋店員の言葉ではなく、しっかりと自分の耳だけを頼りにするしかありませんし、そうするべきです。
数あまたあるオーディオメーカが勃興する中で、本当に間違えのない信頼できる製品を作り続けるメーカーは「RME」です。
その他信頼の高いメーカーは数多く有れども、そのモデル変遷によるクオリティのばらつき、信頼のあったブランド力の廉価モデルでのクオリティ低下による失墜。
メーカー内でのモデルでのあたりはずれ等、枚挙に暇がありませんが「RME」はそういったブレが全く無い(車で言うと同じドイツ製メルセデス・ベンツのような)完全に信頼のできる稀有なメーカーと言えます。
オーディオケーブルについて
アナログのオーディオ信号をやり取りするのにはオーディオケーブルを使います。
線の部分のケーブルと、接続部分のコネクターそれぞれに多くの規格があります。
一般的なオーディオケーブル
マイク用、ギター・キーボード等楽器用、機材用などに別れますが、大きな違いはありません。
外部からのノイズの遮断のためにシールド網が内部に貼られて、更にその内部にオーディオ信号を乗せる芯線があります。
コネクタ
実に様々な種類があるので、機材間のコネクタ規格をよく確認する必要があります。
特にオスとメスのあるものには注意が必要です。
機材間でコネクタが異なる場合には、注意深く変換ケーブルを選ぶ必要があります。
形状 | 用途 | |
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XLR(キャノン) |
主にレコーディングマイクに使われます。 また、バランス伝送用のケーブルにも使われます。 |
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標準プラグ | 最も普及しているタイプ。 | |
モノ | 主に楽器用、オーディオアウトに使われます。 | |
ステレオ | ステレオケーブルとしてと、モノ信号でのバランス伝送用としても使われます。 | |
RCA(ピン) | 民生用のオーディオ機器の入出力で、ほぼステレオセットで使われます。 | |
ミニジャック(3.5mm) | MacやiPhoneのオーディオアウトによく使われています。 | |
ステレオ | ||
モノ | ガジェットタイプのシンセなどで使われています。 | |
ヘッドセット用4P | ステレオ信号とヘッドセット用のマイク信号を一緒に扱います。 |