4:LFO
LFO(ローフリケンシーオシレーター)
別名:モジュレーションジェネレーター(MG)
LFOは直訳すると「低周波発生装置」耳に聞こえないくらいの低い周波数を発生させて、アサイン先を変調(モジュレーション)させます。
おおむね0~20Hz程度の周期が主流です。
これをもっと周波数を高くして(周期を速くして)可聴域(要するに「音」)で変調すると複雑な倍音を持ったシンセ特有のアグレッシブな音になっていきます。
LFOは音に周期的な変化を加えるモジュール
LFOのインターフェース
LFOによる具体的な効果
ビブラート
一番一般的なのは「ビブラート」でしょう。
ピッチ(音高)に対してLFOをかけるとビブラート効果を得ることができます。
LFOの効果は[wave]と[rate]で決まります。
変化させる形(波形)をwaveで、変化速度をrateで決めます。
ビブラートならば波形を三角波かサイン波、rateを5~7Hz(一秒間に5~7回の繰り返し速度)、変化幅の値を20~30cent(100cent=半音)程度に定めると気持よくビブラートがかかります。
フィルターにかける:スイープ/ワウワウ
アサイン先→Cut Off(フィルター) 波形=三角・サイン波
ゆっくりとフィルターが開いたり閉じたりする音は「スイープ音」と呼ばれ、シンセサイザーのパッド系、ストリングス系音色の定番になっています。
レゾナンスを上げておくとかなりインパクトのある音になります。
これの速度を早めるとワウワウ(WOWOW)と呼ばれるギターでお馴染みの効果になります。
アンプリファイアにかける:トレモロ
アサイン先→Amp(Volume) 波形=三角・サイン波
エレピやビブラフォンで有名なトレモロは音量を周期変化させて効果を得ます。
この時、自由度の高いシンセならばPanにもシンクロで左右に振ってかけてあげる(Auto Panともいう)とより効果的になります。
ピッチにかける:種々の効果音
波形を三角・サイン波以外に変えることでビブラートの他に様々な効果音が得られます。
アサイン先→オシレーター(ピッチ)
波形=パルス波:救急車などのサイレン音。
パルス波のデューティ比を変えられればウルトラマンのカラータイマーの音になる。
波形=ランダム:レトロフューチャーで描かれているコンピューターの音
フィルター(Cut Off)にランダム波形
アサイン先→CutOff(フィルター)
16beatでシンクロさせると面白いリズムコードが刻める。
フィルターのResonanceを高目に設定すると効果的。
[Tips]パッチ式モジュラー型シンセサイザー
多くのシンセサイザーにて、ADSRはアンプへ予め直結されていますが、LFOは必要に応じてアサインして使用します。
アサインできるモジュール先はシンセの機種ごとに異なりま す。
このようにモジュールを繋ぐ(結線)することをパッチング(パッチ)といいます。
通常のシンセサイザーでは予め内部で結線されていて、アサイン先も半固定になっているものがほとんどです。
これはシンセサイザーの構造を完全に理解していなければパッチングがほぼ無理だからです。
一方、自由自在にパッチできるタイプのものは各モジュールが独立していて、予算や目的に応じてモジュールをカスタマイズして購入することができました。
初期シンセサイザーはほとんどがこのモジュラー型で後にLive等で持ち運びができるよう にと内部結線型のシンセへと発展しました。
完全パッチ式シンセサイザー「MOOG IIIc」
モジュラー同士を繋がなければ音は出ない
KORGのMS-20などは基本ラインは内部結線で必要に応じてモジュールをパッチで組み替えられる半パッチ式を採用して低価格ながら自由度の高いシンセサイザーとして人気があります。
セミパッチ式シンセサイザー「KORG MS-20」
予めメインモジュールを内部結線してある
[Tips]サウンドのキモ!
打ち込み系音楽の特にTechno、Trance系、アンビエントなどのジャンルでは常に音が「変化している」「動いている」というスタンスでサウンドメイクをするのが効果的です。
単純なフレーズでも音に動きを付けることで飽きのこないサウンドに仕上げることができます。
特にフィルターのCut Off、パンニングをLFOで動かす、モジュレーション系のエフェクトでゆっくりとうねらすというのは定番のサウンドスキルです。