5:ダイナミクス系エフェクト
主に音量を調整するエフェクターです。
最もよく使われるのがコンプレッサーです。
ダイナミクス系はその効果がはっきりとはわからず、またその使い方や実践技法の情報がなかなか手に入りづらく用法の難易度が高いものになっています。
現状のミキシングではより効果的に各パートの存在感を高めるために、またバランス良くミックスをするためにパートごとに適度にコンプレッションを掛けるのが通例となっています。
EQと合わせてダイナミクス系のエフェクトを自在に操ることがプロフェッショナルサウンドへの近道になります。
Compressor
ハイハット一個の音からミックス時までほぼすべての音で使用するエフェクター。
音を「まとめる」「タイトにする」「目立たせる」「なじませる」「エッジを効かせる」「ソフトにする」など多種多様な使用法があります。
「音量変化」だけでなく「音質変化」のためにも使い、ヴィンテージ回路エミュレーションでの「サウンドキャクター変化」を再現することも可能です。
コンプレッサーは「ある一定レベル」以上の音量部分に対して「設定した比率」で圧縮し、結果音量差を少なくするものです。
例えば、トラック全体に対して「全体の音量差(ダイナミクスレンジ)を狭くして他パートとミックスしやすくする」処理をするなどの使い方を基本とします。
基本パラメーターを説明します。
コンプレッサーの基本パラメーター
スレッショルドレベル(しきい値)
圧縮が始まる「ある一定レベル」の値
レシオ(圧縮比率)
スレッショルドレベル以上の音をどのくらい圧縮させるかの比率
比率「1:∞」の時にはLimiterとなる
その他のパラメーターにてコンプレッサーを活用させることでサウンドのキャラクターを変化させることが出来ます。
アタック
圧縮が始まるまでの「猶予時間」
設定によってハイハットやアコギのアタック部分などを強調できる
リリース
サウンドレベルがスレッショルドレベルを下回っても、圧縮を継続させる時間
「タイトな音」を実現させる
*シンセサイザーパラメーターの「アタック」「リリース」とは逆な効果になることに注意
ニー
スレッショルドレベル近傍の音量変化を滑らかにする
特に低域処理にはニーの設定が重要視される
コンプ実践
コード楽器隊へのコンプ
エレピサウンドをまとめる
【アプローチ】
ヴォイシング数による音量変化差を少なくする→弱めのコンプ=比率を小さめ
エレピサウンドのアタック感は損なわず、しかし強調させない→長めのアタックと短めのリリース
909系スネアドラム
【アプローチ】
強い粘りとコシ→ハードコンプ=低めのスレッショルドレベルとやや大きめの比率
アタック=やや短め、リリース=やや長め→タイトなグルーブ感
アコギの掻き鳴らし
【アプローチ】
コード音サウンド部分よりも、ストロークのアタック音が命
→コンプの「反応速度」が早いタイプの回路を選ぶ
コンプレッサーの回路タイプ
Plutinum Digital
LogicPro純正のオリジナル設定。
反応やや速めでオールマイティに対応
FET
明瞭でパンチの効いたサウンド。
ボーカル、ベースが定番
VCA
輪郭のはっきりしたソリッドサウンド。
Opto
フォトカプラー反応による粘りのあるサウンドが特徴。
独特のアタック感でギター、ボーカル、Limiterとしてよく使用される