12:Blues system②
前回の基本的なBlues systemを踏まえ、12-bar blues chord progressionを軸とした応用と発展を学んでいきます。
特に、ブルースコードの応用のアイディアは、通常の音楽システムにも流用できるとても魅力的なサウンドと言えます。
ドミナントコードを中心としたブルースコードは最終的に全コードクオリティで用いることができます。
この時、全コードルートの全コードファンクションが圧倒的なアイテムとなるのは言うまでもありません。
12-bar blues chord progressionの応用
基本ルール
1小節目・・・Tonic
5小節目・・・Subdominant
7小節目・・・Tonic
9小節目・・・Dominant
11小節目・・・Tonic
これらは指定箇所の冒頭を踏まえればよく、その間については任意にファンクションを進行させて構いません。
例えば、1小節づつファンクションを進ませると9小節までは綺麗にファンクションが並んでいくことがわかります。
最後の4小節でResistiveな要素が加わることでBluesらしさが増幅されています。
【12Etude-1】コード
ドミナントコードのテンション付加は任意にできます。
例えばI7ではMixo系を当てると(9,13)となり共にBlues scaleの音です。
altではテンションの(♯9)がブルーノートとなり、どちらも捨てがたい選択となります。
12-bar blues chord progressionの発展
ブルースコードを更に発展させるために、ドミナントコード以外のコードクオリティを積極的に取り入れてみましょう。
この例はかなり攻撃的です。
特に△7コードはBluesの対極に位置するコードで注意が必要ですが、サウンドに工夫を凝らすと一層刺激的になります。
Blues systemとMajor scale systemとでは構造が根本的に異なるため、Real minor scale 系のコードを積極的に用いてもサウンドのTonalityは維持されます。
Blues systemにおける調性はBlues scaleそのものによって維持されることを理解してください。
【12Etude-2】コード
指定箇所の冒頭以外は自由に進行している。コードクオリティもドミナントコード以外のものを自由選択出来る。
この例ではファンクションが小節を分割して用いられています。
前例でも同じですが、指定箇所のファンクションは一瞬鳴らせばOKです。
+△7やø7コードはなかなかに魅力的です。
【12Etude-1】
【12Etude-2】
Blues feelingのコントロール→Popsへの流入
Blues systemを満たしたサウンドはBlues feelingが極めて強く、通常のPopsやRockとはそのままでは融合が難しいかもしれません。
Blues systemの要素を部分的に取り入れることで濃度をコントロールすることができます。
Blue noteのみを混ぜる
通常の音楽システムでメロディにBlue noteのみを混ぜることでBlues feelingを持ち込みます。
このときいちばん重要なのは、強いBlue noteである「III♭」です。
【12Etude-3】
同主調転調を持ち込む
PopsへBlue noteを持ち込む最も合理的な方法です。
:E♭のScottish scaleはC-Blue note pentatonic scaleと一致します。
コード&スケールを維持しながら効果的にBlue noteを流入できます。
【12Etude-4】
Hybridスケール
:E♭のScottish scaleはC-Blue note pentatonic scaleと一致することから:Cに:E♭を流入させることがとてもよくあります。
メロディの基本は:CのScottish scaleです。
そして、その時々において:E♭を混ぜることで自然に:CのBluesスケールを持ち込んでいることになります。
通常状態でもBlues状態でも共にこの二つのスケールは融合して使われることが多く、メロディライティングの大きな可能性を秘めています。
世界的に著名な多くのミュージシャンによるメロディライティングがこの二つのスケールに帰結している事実は是非とも確認してください。
そしてこの二つのスケールを融合させたものを「Hybrid scale」といいます。
ポピュラー音楽における一つの完成された真理といえるでしょう。
【Tips】マクロ転調しないかぎりメロディはなるべくKeyのMajor Scaleを維持する
メロディの微細な修正やコントロールには、より深いレベルでの「コード&スケール」の知識を必要としますが、ここでは簡易的に気をつけるポイントを述べます。
借用やセカンダリードミナントで登場したD7C以外のコードを用いている時にはメロディーでMajor scaleを維持することが大切です。