4:TD~2Mix作成
TD (トラックダウン=ミックスダウン)
打ち込み、録音等で作成された多数のトラックから、通常左右ステレオ2chのMixファイルにまとめ落とすことを「TD」「トラックダウン」「ミックスダウン」と呼びます。
TDにて作成されるのが「2Mixファイル」で完成形(マスターデータ)の一歩前の段階です。
この後、マスタリング作業を行い完成形であるマスターデータが作られます。
CDシングル、アルバムプロジェクト等では楽曲は1曲だけではなく、3~10曲程度をつくり上げることになります。
そのため後に各楽曲を並べてEQや空間系など質感を統一させるために最終工程(マスタリング)をわざと残した状態で仮組みのmixを行うのがTDの意義です。
2Mixファイルのデータフォーマット
メジャーレーベルでの音楽製作では「24bit48kHz」か「24bit96kHz」にて作られることが多いです。
これは放送業界フォーマット(BSデジタルBモード再生基準が16bit48kHz、地上デジタル波はここからのAAC変換)に基準を合わせるため、48kHzや、その倍数で96kHzが選択されています。
しかし、CD再生の基準規格は「16bit44.1kHz」です。
ダウンビットレートコンバートに置いては整数比で行われる方が音質劣化が少なくなるので、メジャーコンペ等の制作案件ではなく、自らのCD製作用楽曲ならば
「24bit44.1kHz」または「24bit88.2kHz」
での2Mixファイルを作ると良いでしょう。
なお、「24bit88.2kHz」の作成には、元の楽曲プロジェクトファイルにてサンプルレートを「88.2kHz」基準に変更しておく必要があります。
プロジェクト設定>オーディオ
しかし、人間の可聴範囲を大きく超えた88.2kHzでのプロジェクト作成が本当に必要かは甚だ疑問です。
LogicProのループサンプルなども44.1kHz設定のものが多いので、
「24bit44.1kHz」基準
で十分と考えます。
コンプ&EQ実践まとめ
リズム隊EQ実践
サウンドメイクの最も重要なポイントは「リズム隊」をいかに効果的に効率よくミックスするかにかかっているといっても過言ではありません。
リズム隊の中核「Kick」「SD」「Bass」は音のメイン周波数が低域に集中しており、それらをすみ分けさせて音が不必要に競合させないことがポイントになります。
また、EQ→コンプ、コンプ→EQのエフェクト順も決まってはいません。
状況に応じて使い分けます。
リズム隊のEQイメージ
ドラムとベースのコンプ
このリズム隊のコンプセッティングについてはジャンルやそれぞれの音色により多種多様に変化させるので一概には言えません。
共通して重要なのは「アタック感」と「リリース感」です。
急激なコンプを掛けることによりスネアやキックは音の余韻がかなり増え、同時にアタック感が失われてしまいます。
これらの調整がコンプの「アタック」と「リリース」に関わってきます。
このパラメーターのイメージを把握するのはとても難しいですが実践を重ねてつかむことにより、多大なるリターンが得られます。
コード楽曲と中域処理
サウンドに大きな影響のある帯域として「中域」があります。
1.5Kから5Kはビートのアタックにあたる「打撃音」が集中し、特に2K~4Kは人間の耳が一番敏感に感じ取るポイントです。
これらの情報が「音圧」にとても関与します。
しかし、あまり多く鳴らしすぎると耳障りになり単に「うるさい」サウンドともなるので注意が必要です。
コード隊のコンプ&EQ
ギターやキーボードは奏でるフレーズにより使用音数が異なってきます。
この音量差を均す程度に薄くかけておきます。
アタック感に影響の出ない程度に「アタック」は遅めにセッティングします。
ただしリズムカッティングギターなど弦を爪弾く音を強調させたい時などは深めのスレッショルドとレシオで「アタック」をやや速めにしてアタック感を強調することがあります。
またエレピなどはベースの帯域とかぶることがありますのでEQで低域を絞っておきます。
EQポイント
-
200Hz以下をシェルビングで削る
-
2Kのアタックポイントをやや目立つように
コンプ
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レシオ 1:2~1:3ほど
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スレッショルド やや浅めに
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アタック 80~120ms
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リリース 30~50msの短めに
メインメロディ/ソロ・リード系
シンセリード・ギターリードなどの強いリード音の中には歪系のエフェクト、オーバードライブやディストーションがかかっているものがあります。
これらはほぼリミッターの役目も持ちますのでコンプは不要になります。
そうでない場合は強めのリミッターに近いコンプをかけます。
EQ
メロディの基音以下の周波数はバッサリカットします。
大幅なEQカーブの操作はあまりしません。
エキサイター
どうしても音が目立たない・前に出ないというときに「奥の手」エキサイターを使います。
ソロの場合は5~7K以上にかけます。
TD設定
TDでは基本トータルコンプのみ
TDではトータルで軽く均す「コンプ」と急激なピークポイントを抑え、0dBを超えないための安全装置「リミッター」をかけておく程度です。
マスタリングでの修正余地を残しておくために平均的音量を-3dB~-1.5dB程度に抑えておきます。
TDのバウンス形式
通常は「24bit 44.1kHz」にします。
テレビやラジオ等の放送業界への納入予定がある場合は「24bit 48kHz」にします。