2:音場・空間系
コンプレッサー・EQと並んでMix時にとても大切なのが「音場・空間系の処理」です。
これらに使われるエフェクターは「リバーブ」と「ディレイ」です。
Mix時に各パートの定位(Pan)をずらし、ステレオベースを有効活用することで、パートサウンドの独立性を保つことができます。
しかし、定位の操作だけではサウンドに立体感をもたせることが出来ません。
「のっぺりしたサウンド」「立体感がない」というMixから脱却させ、十分な立体感があり、かつ各パートの独立性をさらに促進させるには、縦横無尽なリバーブ操作が必要になってきます。
その考え方を説明します。
レコーディング・DAWは仮想空間
空間は一つしか無いののでリバーブも一つだけでよい
リバーブの使い方でよく語られる間違った認識です。
そもそも、ライブ空間にしても音場は「ステージ内」「観客席」「エリア空間」などいくつも存在します。
よって、使用するリバーブもパート配置を合理的に行うために多種多様に使用します。
レコーディングスタジオにても「リバーブルーム」「プレートリバーブ」「スプリングリバーブ」と、残響特性の違うリバーブを時代とともに使い分けています。
すなわち、リアルタイムで聞くアコースティック演奏以外の、レコーディングスタジオ、DAW上などすべての音場空間は「仮想空間」であると割り切って考えるべきだと言えます。
ならば、最大限の効果を得るために革新的な使用法を積極的に模索するべきです。 特に、CPUリソースの許容する限りに使用できるリバーブは、その使用法が時代とともに大きく技術向上してきています。
音源、エフェクト自体の技術はもうすでに1990年代に出尽くした感があり、その後のサウンド変化は、いま講義している「Mix/Mastering」に拠る所が非常に大きくなっています。
その技術でも特に音場・空間処理については今なお使用法の技術革新が進行中です。
音の立体感と存在感
パートサウンドは、その音源のドライサウンドのみでは単なる平面的なサウンドに過ぎません。
しかし、リバーブにて残響を加えると立体感を帯び、残響成分を過多にすればサウンドそのものがぼやけてしまいます。
これは絵でも同じことがいえます。
イメージしてみます。
複数のリバーブを用いて奥行きをコントロールする
単発のリバーブだけで、そのかかり具合の深さをコントロールするだけでは「単一の質感」しか得られず、十分な立体感を表現できません。
「密度の濃い長いロングタイムリバーブ」「軽い質感のミドルタイムリバーブ」「部屋鳴りのショートリバーブで輪郭を付ける」など複数のリバーブを使い分け、または混合で用いることにより「極めて立体感のあるサウンド」を得ることが出来ます。
具体的なリバーブ・ディレイ設定
リバーブ
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密度の濃いホール型ロングリバーブ(3~5秒)
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中程度空間のミドルリバーブ(1.2~2秒)
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小空間のショートリバーブ(0.3~0.8秒)
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デッドな部屋鳴りのアンビエントリバーブ(0.1~0.3秒)
ディレイ
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基本ステレオディレイ(左:8分音符 右:付点8分音符)
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4分音符ディレイ
これらをBus/Auxを用いた「エフェクトセンド/リターン」方式にて設定します。
さらに、リードパートや、特殊パートなどには専門リバーブ・ディレイを別に設定することがあります。