ポピュラー音楽の起源としてのクラシック音楽の影響について | 特定非営利活動法人ミュージックプランツ | 音楽制作・作曲・DTMを支援する会 Skip to content
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2021年3月 26日

6:クラッシック音楽の基礎


ポピュラー音楽の源泉としてみたクラッシック音楽

2021年現在のポピュラー音楽は、さまざまなクラッシック音楽の要素を内包しているものがあります。
しかしながら、それらは小中学校での音楽の授業で習ったクラッシック音楽の重要性とは必ずしも一致しません。
特に重要と思われる、現在のポピュラー音楽に影響を与えている要素を抜粋し説明いたします。

歴史概要

モノフォニー時代:中世西洋音楽時代
A.D.500~1400頃
この頃は、まだMajorScaleの概念が希薄でありながらも、メロディに対するスケール概念が確立していく過程の時代です。
まだはっきりとした伴奏が存在せず、単旋律のみの「モノフォニー」による音楽です。

ルネッサンス期
1400~1600頃
旋律が旋律を伴奏として支える「ポリフォニー音楽」が芽生え始めます。
同時に、低音部(ベース概念)の概念が生じ、初期ホモフォニー音楽が見られます。
俗に言う「民族風」音楽の典型サウンドを聴けます。
(アルス・ノーヴァ等)

バロック期
1600~1750頃
「メロディをコードが支える」現代のポピュラー音楽の基軸となる「ホモフォニー音楽」が確立すると共に、「メロディがメロディを支える」ポリフォニー音楽も同時存在する時代です。
この時代は偉大なるバッハを押さえておけば十分です。

古典派
1750~1800頃
厳格な様式美、形式主義が発達し、繊細で華麗な室内楽から質実剛健なフルオーケストラまで、音楽の「規模の多様化」が見られます。
また、コード的な概念も発達し、新標準音楽理論に通じるファンクションの概念「機能和声法」が確立します。
ベートーベンが何と言っても代表格ですが、ベートーベンは前期ロマン派への架け橋ともなる作曲家です。
なお、モーツァルトについて一般的には神格化されるが如くの高評価な作曲家ですが、現代のポピュラー音楽において、特にメロディ構築の観点からはさほど重要な作曲家ではありません。

ロマン派
1800~1900頃
古典派の厳格主義から対比的に、より繊細な感情表現への探求がされる時代になります。
機能的和声からの関係調以外への「遠隔転調」を試みる動きが強まります。
その中で、音楽理論において最大の革命であり衝撃となる「調性崩壊」の引き金がワーグナーによって引かれます。
新標準音楽理論における「代理(裏)コード」の、ワーグナー発明による完全なる自由転調はその後の作曲法に大きな影響を与えました。
また、後期ロマンと区別される1850以降は、フランス革命以後の「王政/宮廷文化の崩壊」から、作曲家の音楽ベクトルが市民へと向くにあたり、ナショナリズムと相まって国民楽派(民族主義)を生むこととなります。
特に、「王様・貴族のための音楽」から「市民、日常のための音楽」へとシフトしていくことで、音楽の表現対象が「写実的・静的」なものへと移り変わり、その中から現代のポピュラー音楽に最大の影響を与えている「印象主義音楽」が生まれていきます。

近代・現代
1900~
調性崩壊以後の自由転調を駆使した音楽表現は限界を迎えたかのように感じられ、「調性」に束縛されない新たな音楽理論を探求する動きが出てきます。
そして、全12音を均等に扱うシェーンベルグの「12音技法」をはじめ「無調音楽」「セリー音楽」「数学的記号論による音楽構築」など、様々な表現方法が試みられ、1900~1960年代までは作曲家の探究心が「非調性音楽」一色に染められてしまいます。
しかしながら、その長い60年にも及ぶ探求は「名曲の不出」という無残な結果に終わり、自然的に調性音楽への回帰となりました。
一部のアカデミック主義の音楽大学などは、いまでもこれら「無調音楽」中心による革新的音楽表現の探求を行っています。

クラシック音楽の歴史

印象主義とフランスの作曲家

後期ロマン派の国民楽派などからさらに派生して、フランスを中心とした新表現の音楽探求を印象主義と呼びます。
現代のポピュラー音楽に一番の影響を与え続けている大変重要な音楽学派です。
印象主義音楽はメインの音楽史に数えられることは少なく、大きく言えばロマン派後期の一部とみなされます。
もっとも重要なのはその音楽表現のベクトルで「静的なもの」「写実的」など、日常生活の情景や、切り取られた一時の表現を試みたところに、ロマン派音楽までの「劇場的」「情動的」「物語表現」と対極的にあるとされます。
簡潔に言えば「雰囲気を表現する音楽」と言えるでしょう。
音楽理論的には、ダイアトニックスケール以外の特殊スケールの活用、調性の流動的変移、長調短調の不明瞭化など、ポピュラー音楽の重要な語法が発達しました。

そして重要なことは、これらの機運そして運動と発展が「フランス」を中心としてなされた点にあります。
一般的に「音楽の都:ウィーン」「ドイツ3大B」「イタリアオペラ」といった印象がありますが、現代のポピュラー音楽への源泉を辿った時に、もっとも重要な国は間違いなくフランスになります。

クロード・ドビュッシー
もっとも印象主義にて語られる作曲家。
ホールトーンスケールの頻繁な使用による独特の音楽表現。
写実主義と幻想主義、自らの表現を探求する上での新しい技法開拓は現代のポピュラー音楽に多大なる影響を与えている。

ベルガマスク組曲(ピアノ曲)
交響詩「海」
子供の領分
2つのアラベスク

モーリス・ラヴェル
ドビュッシーと共に語られる印象主義の2大巨頭。
繊細かつ緻密なオーケストレーションは「管弦楽の魔術師」の異名を持つ。
完全なる音楽の美の権化、全曲に駄作が一つもない。

亡き王女のためのパヴァーヌ
ダフニスとクロエ
マ・メール・ロワ
ボレロ

印象主義成立に関わるなかで重要な作曲家

ガブリエル・フォーレ
厳格な古典的様式美を踏襲しながらも和声的には極めて柔軟な流麗たるスケール変遷を得意とし、印象主義への橋渡し的な存在の作曲家になっている。
その極限にまで美しいメロディはただ耽美としか例えようがない。

パヴァーヌ
シシリエンヌ
夢のあとで

エリック・サティ
現代のポピュラー音楽「ロック」の源泉をたどるとこの人に行き着く。
「それまでの常識・固定観念を脱却・破壊し、全く新しい基軸の様式美、価値観を構築、確立し世論に認めさせる」というロックの本質を見事なまでに完遂した人。
現代のポピュラー音楽ではもはや定番手法となったIV△7スタートの楽曲の元祖が「ジムノペディ第1番」
3つのジムノペディ
ジュ・トゥ・ヴー(君がほしい)
家具の音楽
ヴェクサシオン

【番外】オリビエ・メシアン
近現代の作曲家と分類されますが、メシアンスケールとも言われるオリジナルなスケール用法を次々と編み出し、独自の音楽表現を試みた点、そして、単なる無調音楽の枠ではなく、調性音楽との境界線上の「ポピュラーと非ポピュラーのギリギリなラインの音楽」を生み出した点で「音楽最大の重要要素=バランス」とは何かを提示してくれる重要な作曲家です。

トゥーランガリラ交響曲
キリストの昇天


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