現地のリアル
今年も食文化や音楽の現地調査を行うため、まずはタイに行きました。
たまたま手に入ったタイ料理の調理キットがあまりにも美味しく、これは現地まで本物を食べに行かなければと即決です。
そしてタイに行ってみると食文化だけでなく様々な点で衝撃な体験に驚かされることがたくさんありました。
少しずつ書き残していきます。
前置き
まず、私の旅行方法はガイドブックの類を一切見ません。
Googleマップにて空港からホテルまでのルートと、その行き先での簡単なマーケット情報くらい調べて、あとは行き当たりばったりで、鼻を聞かせてとにかく現地のリアルな町並みを歩いて回ります。
なので、観光客がひしめくエリアにはほぼ行きません。
現地の方で賑わうマーケット・ストリートフード・モール/スーパーを見て回りました。
ネット情報の誤謬
インターネットが普及し、ブログやSNS、動画サイト等で広く情報が手に入る時代となりました。
恐ろしいことに、台湾同様、現地で何点ものズレが発覚。
①事前情報:虫除けスプレー必須
市場、街中、屋台、蚊もハエも見かけず、全く刺されることはありませんでした。
どこの地域のことなのか!?
②名物料理
トムヤムクン
トムカー
グリーンカレー
カオマンガイ
どれも期待していたのですが、ふらっと立ち寄った屋台やモールではほとんど見かけられません。
日本でも名の通ったメニューで現地で見かけたのはパッタイくらいでした。
台湾でも「台湾カステラ」というものは町外れに1店舗取扱があったレベルです。
TikTok/Instagram/YouTubeでの旅行者情報は概ね有名観光どころばかりなのかもしれません。
③冷房がキツい
公共機関やモールの冷房が効いているため、ある程度の防寒が必要とのことでしたが、現地ではむしろ適温なくらいで不要でした。
④氷や食器に気を付けろ
氷は食べない
屋台の食べ物も作り置きは避ける
フードコートでも食器は拭く
など、衛生面に気を付けろ、という注意喚起はよく見かけました。
私の抗体レベルにもよりますが、ローカルな店のアイスコーヒー、手作りのかき氷、屋台食、いろいろと食べまくりましたが、全く影響ありません。
用心するに越したことはありませんが、何でもかんでも恐れてチャンスを逃すことは勿体無いなと思うばかりです。
これも、よく調べるとわかることですが、水でお腹を壊す原因は高度の硬水だからとのこと。
何も浄水環境が悪くて雑菌/汚染物質などが混入しているわけではありません。
事前情報での思い込みや逆バイアスは本当の価値を手に入れる敵だなとつくづく思いました。
自分自身の目で確かめた上で判断しなければならないと改めて思います。
そもそもネット発信の情報が個人なのですから、必ずしも公正なものであるわけがありません。
暑さ寒さ、辛さ甘さ、衛生観念も人によって大きく異なります。
音楽文化について
ショッピングモール、各所流れているBGMのこだわりがとても寂しく、音楽そのものに国民がそれほど馴染みがない印象です。
大体の曲雰囲気は1970年代日本のムード歌謡曲に類するものでした。
路上ライヴ、演奏も見かけず、アーティストのプロモーションも目立ちません。
一部の先進的商業地域にて、K-POP流アジアンアイドルのプロモーションがありましたが、日本のそれとは大きく異なり、ごく一部のユーザーターゲットに限られたものでした。
この辺は富裕層と貧困層との分断が日本以上に大きくなっていることも原因かと思います。
現地のスラムと言って良いような地域も歩きましたが、おそらく毎日生きることで精一杯でエンターテインメントへ心を向けるリソースが残っていないのかなと感じました。
かといって悲惨というものでは決してなく、心豊かに日常を送れていて音楽が不要な方がほとんどであるという印象です。
流行を常に更新し続ける必要のない音楽土壌であると認識しました。
また、タイ人は自炊をせず、外食/屋台がほとんどで、その際には何人かで一緒に食事する光景をよく見ました。
日本では家族がいても一人食事が普通になりつつありますが、タイのように複数人数にて食事するのが常となると音楽がそれほど必要ない状況なのかもしれません。
人間性の違い
今回の旅行では息子を連れて行きました。息子はまだ乳児なので行程に不安がありましたが、タイ行きの飛行機から始まり、空港や地下鉄、街中全ての人々が息子に話しかけてくれて、あやしたり優しく触れてくれる機会が多々ありました。
初めに入った食事処では、店員に英語が通じず、お互い困っていた際、その場のお客が翻訳で助けに来てくれました。
全体的に待ちゆく人々は感情が穏やかで優しく、日本でよく見かけるぼーっとしている人も、自分で精一杯な人もまずいません。
日本も東京と各地方、電車の時間帯によりキャラクターは変わりますが「ストレス社会」のようなワードを感じさせるものはほぼなく、どんな場所にても生きる活力を感じます。
日本との様々な違いを数日ながら感じていました。
チップ文化、仏教的に徳を積むこと、子供好きの国。
押し付けるべきではありませんが、見習うべきこと、リスペクトすべきことは取り入れ、今後に活かしていきたいと思いました。
繊維状の豚:ムーヨン
タマリンドの種を用いたオーリアンコーヒー
タイ特有の調味料、甘味辛味酸味
新鮮なフルーツと野菜
食の情報もたっぷり詰め込んで、一旦帰国します。
何もかもが奥深く、一度では僅かしか覗くことが出来ませんでしたが、これから少しずつ知っていけたらと思います。
音楽も食も、世界配信や世界に売り込むと言っても、全く文化も好みも気質も違う現実に対して、各国の事情と状況を的確に判断して戦略を練る必要があることを再確認しました。
闇雲に数打っても、可能性がごく僅かなのは自明です。