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エレクトロニックミュージックの歴史 一覧に戻る
2021年3月 27日

1:黎明期~1970年代まで


(黎明期~1970年代まで)

シンセサイザーをメインとしたサウンドが中核をなす「エレクトロニック・ミュージック」は、2017年現在の音楽シーンにて大きなエリアを占めるに至っています。
時代の最先端サウンドはシンセサイザーサウンドといい切っても過言ではありません。
そしてエレクトロニック・ミュージックの歴史をふりかえることで、トレンド・変化を読み取り、次の流行になるであろうサウンドをある程度予測することができます。

いわゆる電子楽器の登場は、19世紀末までに遡ることになります。
そして、シンセサイザーの原型と呼べるテルミン、オンド・マルトノなどが1920~30年代に登場します。
現代音楽に端を発した「電子音楽」ですが、まだこの頃はポピュラー音楽の体裁を持つものではありませんでした。
(カールハインツ・シュトックハウゼン、ヤニス・クセナキスなど)
その後、技術革新と試行錯誤を重ね、1960年代に現在のアナログシンセサイザーの完成形でもある「モーグ・シンセサイザー」が発明されます。

すべてはこの「モーグ・シンセサイザー」が出発点と言っていいでしょう。
そして、世界初の『楽しめて聴ける』オールシンセサイザー音楽「Switched on Bach」(ウォルター=カーロス→後にウェンディ=カーロス)が1968年に発売されます。

その後、冨田勲により、シンセサイザーサウンドが世に広く知られ、KRAFTWERKによりロック・ポップスの世界にも波及していくこととなります。

1970年代は、その終盤にやっとデジタルシンセサイザーが超高値で発売された時代で、ほぼ全て「アナログシンセサイザー」で作られたサウンドと言って構わないでしょう。
しかし、その殆どは2017年現在でも十分に通用し、メインフレームで積極的に使われるサウンドが多種多様にあることを確認してください。

ウェンディ(ウォルター)=カーロス

MOOG博士と共同でMOOGシンセへの開発にも協力。
シンセ音楽の父(今は母)

1968 Switched on Bach

バッハの名曲をシンセサイザーで作り上げた世界初のオールシンセサイザー・ミュージック。
MOOGIIIPのみで作られた。
まだこの頃は自動演奏が不可能な時代。
当然の手弾きなのだが、単音しか出ないMOOGシンセを、多重録音でほぼ和音の同時発音を再現しているあたりは鬼の演奏力と努力があったと推察される。
特にG線上のアリアで、複声部のビブラートスピードが徐々に変化していくのがほぼシンクロしているなどの神業も多々聞こえる。

冨田勲

シンセの音創り、トラックレコーディング、MIXからTDまでをすべて一人で完結させる音楽制作環境を1970年代にすでに構築した。
DTMの開祖と言える。
シンセ界の神。

1974 月の光

ドビュッシーをオールシンセサイザー(MOOG)によるアレンジで作り上げた。
わずか8ステップのアナログシーケンサーだけで、マルチトラック・レコーダーによる同期自動演奏技術を編み出した。
MOOGを極限までに弄くったサウンドクオリティは「シンセサイザーを変な音の出る機械」から「楽器」として世に認識させた。

1976 惑星

「世界のTOMITA」へ押し上げることとなったシンセ音楽の金字塔アルバム。
今の時代で聴いても、謎のサウンドメイクが多い。
聴いたことが無いはずなのに「宇宙」を感じさせる音作りは圧巻の一言

1978 宇宙幻想

アナログシンセサイザーの極致とも言えるシンセサウンド。
当時、世界初のデジタルシーケンサーRoland MC-8が登場し1曲を通した「打ち込み」による自動演奏が可能となった。
それまでのアナログシーケンサーからデジタルシーケンサーで楽曲を作り上げた。

Tangerine Dream

KRAFTWERKと双璧と言われたドイツのシンセサイザーバンド。
しかし、長い活動の中でサウンドキャラが年代、アルバムでコロコロと変わる。
1970年代での幻想的なシンセサイザーサウンドとアナログシーケンサーによるフレーズ反復は、ミニマルテクノの開祖と言われる。
サウンドとしてのクオリティはKRAFTWERK以上との呼び声も高い。

1974 フェードラ Phaedra

MOOGシンセのアナログシーケンサーユニットを用いた反復フレーズに、シンプルメロディと即興的なフレーズの重なり、テキスチュア的なサウンド変化が非常に幻想的。
シンセサイザーのリバーブ処理、モジュレーション系エフェクトの加工など、現在でも十分に通用するサウンド技法が散りばめられている。

KRAFTWERK

世界中のアーティストからテクノ最高神として崇められる。
テクノ音楽はリーダーのラルフ=ヒュッターが一人で作り上げられたと言って過言ではない。
テクノ音楽の神中の神。
1960年代のサイケデリックムーブメントの流れから生まれたジャーマンプログレ。
その一派からKRAFTWERKは頭角を表してきた。
同じジャーマンプログレからのタンジェリン・ドリームと共に有名だったが、難解な現代音楽の流れをくむタンジェリン・ドリームと比べ、KRAFTWERKのロックテイストはポピュラリティを大きく獲得し、その後世界を席巻していくようになる。

1974 アウトバーン

ドイツ発のシンセ主体サウンドでありながら、全米3位のヒットとなる。
シンセサウンド自体はまだ発展途上だが、生ドラムのサウンドを一切排除し、シンセドラムサウンドのみで作り上げられたリズム隊は今聞いても新鮮。
ヴォコーダーを世に広めたアルバムでもある。

1975 放射能 Radio-Activity

テクノポップの開祖的アルバム。
クワイヤやストリングスのメロトロンサウンド、EMSシンセによる押し寄せるSci-Fi効果音など、当時のプログレサウンドの流れを汲む部分もあるが、ダンスビートとシンセサイザーの融合など、来るべき「エレクトロニック・ポップ・ミュージック」を予感させるアルバムとなっている。

1978 人間解体 The Man Machine

テクノポップの条件が全て揃った元祖的アルバム。
低域を効かせたシンセドラムとシンセベース。
細かいパッセージでのシーケンサーフレーズ。
ミニマリズムのリフ、シンプルなメロディとヴォコーダー。
いわゆるKRAFTWERKサウンドがここに完成する。
後のディスコ、ヒップホップ等の黒人音楽へ多大なる影響を与え続けることとなる。

1970年代までのシンセサイザー・ミュージックにて著名なアーティストとしては

  • ジャン・ミッシェル・ジャール
  • イエロー・マジック・オーケストラ(YMO)
  • ジョルジオ・モロダー

などが挙げられるが、シンセサイザーサウンド・エフェクト技法としては上記のアーティストを中心に聴き込むことのほうが重要です。

Music List

名前 アーティスト アルバム ジャンル
Sinfonia To Cantata No. 29 ウォルター・カーロス
(ウェンディ・カーロス)
Switched on Bach Electronic 1968
Phaedra Tangerine Dream Phaedra Electronic 1974
Antenna (2009 Remaster) クラフトワーク Radio-Activity (2009 Remaster) Electronic 1975
Pulstar ヴァンゲリス Albedo 0.39 New Age 1976
火星 冨田 勲 惑星(プラネッツ) Electronic 1976
木星 冨田 勲 惑星(プラネッツ) Electronic 1976
ザ・マン・マシーン (Remastered) クラフトワーク The Man Machine (Remastered) Electronic 1978
パシフィック231 冨田 勲 宇宙幻想 New Age 1978
ホラ・スタッカート 冨田 勲 宇宙幻想 New Age 1978
U・T Yellow Magic Orchestra BGM Alternative 1981
Midnight in Tula Tangerine Dream White Eagle Electronic 1982
We Live So Fast ヘヴン 17 The Luxury Gap Rock 1983
Then There Was You デッド・オア・アライヴ Mad, Bad and Dangerous to Know Pop 1986
It’s A Fine Day Opus III Mind Fruit Dance & House 1992
Fat Controller Squarepusher Hard Normal Daddy Electronica 1997
Two Months off Underworld A Hundred Days Off Electronica 2002
In My Arms カイリー・ミノーグ X Rock 2007
If You Do, I Do (威風堂々) FPM FPM Dance 2009
Shave It Up Zedd Clarity Dance & House 2012
Don’t Move METAFIVE META Rock 2016

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