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2016年4月 9日

第1回 音楽理論総概論


第1回 音楽理論総概論

音楽理論を学ぶ意義

「音楽理論」
・・・この言葉ほど真意が伝わらず誤解と曲解にまみれた語句は珍しいと思います。

以下のような点が、その多くの誤解が生まれた原因だと思われます。

  1. 音楽理論アレルギーの一部プロたちが声高に「理論なんて必要ない。作曲はセンスだ」と煽動している。
  2. 理論だけで作曲ができると思い、それを嫌悪している。
  3. 理論を学ぶことで個性が失われてしまうと思い込んでいる。
  4. DTM/DAWの発達で音楽理論を学ぶ必要性が薄れてきている。

これらは全て、誤解と間違った情報です。

音楽理論を習得せずともある程度の期間は面白く、楽しく音楽を作れるでしょう。
しかし、出来ることが増えてくるにつれて、もっと思いのまま自由に作曲をし縦横無尽なサウンドで楽曲を制作したいと望むほどに大きな壁の存在を感じることになります。
それは、複雑な響きのコードだったり、華麗な転調だったり、Jazzテイストの渋いコードワークスだったりします。
極少数な天賦の才がある方を除いて、自力でそれらの高等テクニックの習得はまず不可能です。
そして意地になって努力すれども果たして身についた(と思われ る)技術が正しいのかどうか不安でさいなまれ、楽曲に使ってみようともなんとも消化不良 なものになってしまうのがオチです。
これはもう定番コースなのです。

数多くの生徒を見てきた経験則でいうと、
この「大きな壁」を感じて、それを乗り越えようという決意がなければ音楽理論の完全マスターは相当難しいようです。

そして、真実はこうです。

作曲にセンスは全く関係ない

作曲に必要なアイテムをどれだけ習得し、スキルを積む修練を重ねたかの結果がすべて曲に反映される。
音楽理論はその極めて有効なアシストアイテムである。

理論は作曲のためのアイテム

あくまでも理論は作曲のためのアイテムにすぎない。
理論そのものだけで作曲できるようには決してならない。

理論を知らないため個性が生まれない

どんなに個性を表現しようと思っても、理論を知らないことはアイテムが少ないことを意味し、求める表現ができない。
かえって個性を失うことになる。

デタラメな音楽になる危険性が高まる。

正しい音の重ね方の道標が音楽理論であり自由な発想への基盤となるものである。
個性は盤石な基礎の上に成り立っていくものである。

音楽理論の習得は完全なる自由自在な音楽制作への最短な道だと言えます。
しかし現実は、音楽理論は難しい。理論を学んでみたけれどさっぱりわからなかった・・・という声を多く聴きます。
音楽理論が難解なイメージをもたれているのはいくつか理由が考 えられます。

  • 自分のやりたい音楽の方向性に音楽理論の流派が合致していない
  • 難解すぎる本を買ってしまった
  • 実践に満たない簡単すぎる内容で終わってしまった
  • 学んだ先生が理論をマスターしていなかった
  • そもそも音楽理論に間違った部分がある
  • どこまで学んだらいいのかイメージ出来ない

驚く内容もあるかと思いますがすべて事実です。

ここでは、「自分のやりたい音楽の方向性に音楽理論の流派が合致していない」について少しだけ説明します。

音楽のジャンル、カテゴリーは膨大な数に登るのに語られるワードとしてはほぼ「音楽理 論」の一語です。
しかしせめて「クラッシック系の音楽理論」と「商業ポピュラー系の音楽 理論」とは分けて考えるべきです。
それを一緒にして説明している記事や本などがとても多く、論議の場などでも会話のデッドボールになっていることを良く見かけます。

 

 

料理に例えると、寿司職人になりたいのにフランス料理学校で技法を学ぶようなことです。
もちろん重なる領域は多分にありますが、明確に分けて説明されるべき事柄がたくさんあります。

このためにはこれからここで説明していく「音楽理論」がどういう範囲範疇のもので利用でき、効果があるものなのか明確にする必要があります。

通常に娯楽の目的で売買される楽曲(商業ポピュラー音楽)を作曲・編曲・制作・説明・解析・応用利用するのに役立つこれがこれから説明する音楽理論です。

具体的な音楽ジャンルで言えば、
ポップス、ロック、ブルース、ジャズ、ラテン系、ワールド系、大部分のテクノ、一部分 のクラッシック音楽…ほぼ大部分の「商業的音楽」を網羅できます。

逆に通用できないのが、難解な現代音楽の類、聞いていて気持ちの悪い曲、「娯楽」に当てはまらない楽曲、などです。
12音技法などを用いて3度堆積または4度堆積コードで構 築されていないもの、数学的記号論的作曲によるもの、微分音の集合、破壊系音楽などなど・・・これらのジャンル音楽には適応できません。
これはまた違うときに詳しく説明します。

よって少し具体的にこれから説明していく音楽理論に名前を付けてクラッシック音楽の諸理論やこれまでに間違っている記述などを含んでいる理論体系と区別しようと思います。

「汎用複合様式適合型作曲専用新標準音楽理論」・・・本当はこう言いたいのですが長過ぎるので(笑)

「新標準音楽理論」と呼ぶことにします。

 

新標準音楽理論での世界観

音楽理論を学ぶとどんなことができるようになるのか、
どこまで学べば望む響きやサウンドが得られていくのか、

まずはこのイメージを掴むことが重要です。

殆どの本や教育機関で はこのゴール設定が曖昧なため理論を学ぶ目標が立てづらくなっています。
曲の材料や技法、構造等で次のように次元構造で区分して説明しようと思います。

0次元の音楽

0次元=点

単一の材料のみで出来ている音楽。
音階を持たない。ノイズ、ビートのみ。
フォークロア、シャーマニズム、テクノの元型など

1次元の音楽

1次元=線

ビート+メロディ
無伴奏音楽
モノフォニー 教会旋法←MajorScaleの源流
グレゴリオ聖歌

2次元の音楽

2次元=面

Major scale systemでの通常音楽構造
ホモフォニー
調性音楽の基軸
一時的転調材料(ミクロ転調)を含む←関係調
ポピュラー音楽の80%以上 古典派

3次元の音楽

3次元=立体

複数の調性を持つ音楽
関係調への転調
自由転調
Real minor scale systemの流入
Blues状態 Bluesとの融合
4度堆積の利用
古典は後期からロマン派
印象派~近代成立まで
ブラックコンテンポラリー
プログレッシブ・ロック
AORなど

4次元の音楽

4次元=時空

複数の調性が同時共存する
アプローチハーモナイズ(Approach harmonize)
スーパーインポーズ
アッパーストラクチャートライアド(Upper structure triad)
ロマン派~印象派~近現代の一部
ディズニー音楽
劇伴など

 

 


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