名誉会長挨拶
ご承知のとおり、人は思いつかないと何も作れません。
そして、運良く思いついても、作り方を知らないと形になりません。
さらに、作り方を知っても、たいがいは道具がないと何も始まりません。当たり前ですね。
そうかと言って「道具と知識と閃きなら準備万端大丈夫!」と油断をするわけにもいきません。
なぜなら、人は誰でも「自分が何を知らないかを知らない」からです。
これも当然ですが、世の中には「知らない知識」は言うに及ばず、「知らない道具」も膨大に存在します。
そして「新しい知識」と「新しい道具」は「新しい閃き」をもたらします。
人間、どこまで行っても、自分が「何を知らなかったか」を知ることはとても大切ですが、自分は「何を知るべきか」を知ることはもっと大切です。
会員の皆様との情報交換によって、「知らなかったこと」と「知るべきこと」を「知る瞬間」を楽しみにしながら、皆様のさらなるご活躍を応援いたします。
…ご挨拶も、型通りでであれば何の問題もありませんが、この歳になって本当のことを書くと、 何を書いても、老人の「昔自慢」または「お説教」または「愚痴」に聞こえるので恐ろしいのですが、 それでも、型通りでは面白くないので、開き直って本心を述べることに致します。
さっそくの自慢話しで恐縮ですが、まさか本当に、こんなに夢のような、70代が待っていたとは!
半世紀前の20歳そこそこの頃には、内心、密かに望んではいたものの、50年後に実現する確信は、 当時はまったく持てませんでした。
ご承知の通り、音楽家にとって、簡単なメロディーで、しかも時代を超えて愛されるメロディーを作ることは至難の技です。
まず、第一に、あまりにも簡単すぎるフレーズでは、音楽家のプライドが許さない。
そこで、誇りを維持しようとあれこれと難解なフレーズを組み立てると、音楽仲間には喜ばれても広い世間には伝わり難くなります。
斯く言う私も、20代の前半には、プライドとシンプル化の狭間で日々葛藤していました。 はたして音楽家が、自らが発想した簡単なメロディーに自信を持つにはどうすれば良いのか? その答えは実にシンプルです。それは、自分の中にしっかりと、音楽的な裏付けを確保することです。
少しでも音楽理論の心得があれば、例えば、40年以上前の大昔に作曲した「年下の男の子」「林檎殺人事件」 「わな」「微笑がえし」などのポップスにも、ジャズのコード&スケール理論が、さりげなく組み込まれているサウンドに気付くでしょう。 しかしながら、例えば「春一番」にも、ジャズ理論が使われていることを発見するには、 より十分な音楽理論の学習が必要です。
つまり音楽家は、音楽理論の後ろ盾をしっかりと学習することで、音楽家のプライドを人知れず保ちながら、 時代の経過によるメロディーの熟成を、密かに楽しむことができるのです。
これから作曲を志す皆様には、世間の雑音に惑わされることなく、 自分自身の感覚を信じて、高度な音楽理論の、確固たる習得をお勧め致します。
NPO法人 ミュージック・プランツ
名誉会長 穂口雄右 75歳
追伸、キャンディーズ「春一番」の市販楽譜の中には、採譜者の知識不足による採譜ミスを散見します。 すなわち、Aメロ部分の3小節目と7小節目のコードA7の小節の、3拍目の裏のメロディーの音がC#になっている楽譜は間違いで その部分の正しい音は、A7のコードトーンには無いDの音です。 広い世間からすると、実に些細な半音違いですが、 これから、音楽理論を学習する皆さんにとっては、とても重要な半音違いなので、 この場をお借りして、敢えて指摘しておきます。
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